2020年はNPOの設立に関わりました。
札幌の歩く観光に関して調査などをしてきましたが、2020年夏ごろから法人設立をしようという話になりNPO法人の設立に動き始め、なんとか年内に登記申請までこぎつけました。
NPOの設立に関する情報はネットにも乏しく、また古い情報(法律改正前)のものもあるため情報収集で苦労しました。
そこで経験したことをまとめておきたいと思います。
<前提>
・私は法人設立の専門家ではないので、ここに記載したことをそのまま信じるのではなく、参考にして色々調査のきっかけにしてもらえればと思います。
・2020年札幌の内容になります。時期や場所により変わることもあるかと思いますので、その辺もご留意ください。
<法人の種類>
まず法人にはいろいろな種類があります。
よく知られているのは株式会社であり、それに次ぐには一般社団法人と特定非営利活動法人(いわゆるNPO法人)でしょう。
この違いの主なものは下記です。
・支配する人
出資した株主が所有者となる株式会社に対して、一般社団法人やNPOは「社員」と呼ばれる人が理事の選任などの権限を持ちます。
一般社団法人の社員は限定できますが、NPOは誰でも条件を満たせば社員になります。この社員は通常「正会員」と呼ばれることも多いです。
株主は配当などの便益を受けますが、社員にはそれはありません。利益配分が禁止されているからです。
・経営者
株式会社は取締役が経営者であり、代表取締役が組織を代表します。
NPO法人等は理事が経営者であり、代表理事が組織を代表します。理事の報酬には制約も多く(報酬を得られる理事の割合等)、株式会社の取締役ほどの力はないように感じます。
・従業員
これには大きな違いはありません。ただ株式会社では従業員のことを社員と呼ぶことが多いですが、NPO法人等では社員は違う意味を持ちますので注意してください。
・資本金
株式会社には資本金があり、出資者は配当などの便益を受けることが可能ですが、NPO法人等には資本金がありません。
・設立発起人
株式会社は1名でも作れます。一般社団法人は非営利型を目指す場合、実質3名は理事に必要です。NPO法人は設立発起人が10名以上必要で、理事も3名以上必要です。
株式会社には監査役が必要ですが、NPO法人等は監事が必要になります。
・寄付
ここがNPO法人の大きな特徴でしょう。会費を含めた寄付が大きな収益源になりますが、寄付には所得控除や税額控除等の税的優遇がある場合があります。
・所得税等
株式会社は利益が出れば課税されます。
一般社団法人も収益事業に関しては利益が出れば課税、非収益事業は課税対象外です。
また一般社団法人とNPO法人ではこの非収益事業の考え方が大きく違うようです。
ここはこれから組織を運営する上で経験することですが、NPO法人の方が非収益事業の幅は広そうです。
・認証
株式会社や一般社団法人は設立登記は必要ですが、監督官庁がないため認証などはありません。
しかしNPO法人は認証があります。北海道の場合、北海道が認証するのですが、札幌市内のNPOは札幌市に業務が北海道から委託されているため札幌市に認証申請を行います。
認証申請には時間がかかります。
1か月の縦覧期間があるためです。
実際私たちの場合、認証申請が受理されてから、約1か月半かかりました。
・事業目的
NPO法人はやっていい事業が制限されており、それに該当した中から選んで定款に記載した範囲で事業ができます。
・そのほか
毎年決算関連書類を役所に提出するなどの手間は株式会社や一般社団法人と比べてNPO法人はかかりそうです。
補助金等を受けやすいというメリットもあるようなので、その辺を比較検討するとよいでしょう。
このような違いがあります。
<特定非営利活動法人設立を決めるまでの流れ>
特定非営利活動法人(NPO法人)設立には意思の統一が必要です。
10名以上の発起人の中で意思を統一し進めることが大事です。
その中でも大事と思うのが二つです。
・なんで設立するのか?
・何をするのか?
前者にあたるのが設立趣意書になります。
後者にあたるのが事業計画になります。
両方の要素があるのが定款です。
目的や事業内容などを定款に書くのですが、NPO法人は管轄官庁の認証が必要なことや、条件が決まっているため、ここが他法人と比べると大変です。
他法人では何を書こうか、よほど道に外れていなければ出来ないことはありませんが、管轄官庁の審査があるためそうもいきません。
その中で下記は明確にされると認証がスムーズでしょう。
・NPO法人でなければいけない理由
言い換えれば他の法人や任意団体ではだめな理由
・事業目的と事業内容が設立首位と合っているか
何故その事業目的で事業内容なのかということです。
・主な収益源
・会員の種類と会費
ここは仲間での議論も必要なところですし、決めたら変更が難しいところです。
このステップで2か月ぐらいかかりました。
<特定非営利活動法人認証までの流れ>
ここはてこずりました。
必要な書類は下記です。
・臨時社員総会議事録写し
・定款写し
・役員名簿 ※役員とは理事と監事です 住所は住民票の通り書いてください。
・役員の就任承諾書写し(全員分)
・役員の住所もしくは居住を称する書類 ※要は住民票です
・社員のうち10名以上の名簿 ※社員とは設立発起人です
・認証要件に適合することを確認したことを示す書面 これは既定のフォーマットがあります
・設立趣意書
・設立についての意思の決定を証する議事録の謄本 ※要は設立総会議事録です
・設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書
・設立当初の事業年度及び翌事業年度の活動予算書
これだけ揃えるのは結構大変です。
今回は提出後も何度も修正を求められ、最初の提出から受理まで結局1か月ぐらいかかりました。
私たちは自力でやりましたが、時間がない場合は急ぐ場合は専門家に依頼するほうがいいかもです。
<特定非営利活動法人登記までの流れ>
登記に関しては、所轄の法務局に申請します。
認証書写しや登記申請書、代表者の印鑑証明書、定款写し、就任承諾書写し、設立総会の議事録の写し、印鑑届などが必要になります。
写しを提出するものについては原本も持参してください。確認されます。
また写しには「原本に相違ないことを証明する」と代表者が記載の上、代表印を押してください。
なお登記印紙は不要です。
登記申請書には別紙というものがあり、書く内容が多いので確認が必要です。
なので、自力で準備するのであれば外部に払う費用はありません。
設立費用が安く済むのはメリットでしょう。
登記が完了したら、登記を称する書類(登記簿謄本でしょうか?)と財産目録を所轄の役所に提出するようです。